Hypomyces chlorinigenus Rogerson & Samuels, Mycologia 81: 423, 1989. 

Anamorph: Sepedoniumchlorinum (Tul. & C. Tul.)Damon, Mycologia 44: 95, 1952.

寄主上の子実体形成菌糸層は黄褐色 (yellowish brown, 10YR5/6) から明褐色 (10YR6/8),褐色 (brown, 10YR4/6),寄主全面を覆う;子実体形成菌糸層を構成する菌糸は幅1.5-5 (-6.5) μm,柔軟組織状,有隔壁,厚壁,KOH(-).子嚢殻は鮮黄色 (5Y8/10) から黄褐色 (10YR5/6),橙色 (orange, 10YR8/10),楕円から広楕円形,(139-)152-165(-211)×(119-)145-185(-205) μm,子実体形成菌糸層に半ば埋没して群生する;子嚢殻基部は円錐状,(33-)46-53(-73)×(66-)86-92(-112) μm.子嚢は円筒形,(59-)65.5-69(-93)×(4-)4.5-5(-5.5) μm,8胞子性,長さ(6.5-)9.5-19 μmの柄を有し,上部に孔口を生じ,肥厚した先端構造 (幅0.5-1 μm,長さ1.5-2.5 μm)を有する.子嚢胞子は無色,紡錘形,中央またはやや基部付近に隔壁を有し2細胞性,(5.5-)11.5-13(-15)×(2-)3-3.5(-4) μm,表面は平滑または直径0.5 mm以下の疣状突起を有し,両端は突状 (長さ0.5-1 μm,先端は丸みを帯びる);発芽時に側面表層部がわずかに膨張し,その一端から菌糸を生じる.
MEA25 oCでコロニーはすみやかに生育し,綿毛状,表面は黄色 (5Y8/10) から橙色 (10YR8/10),橙色 (cadmium orange,10YR7/14),菌叢は培地表面から高さ10mmに達し,無臭;周縁は厚く,緩い鋸歯状;裏面は黄色 (5Y8/10) から橙色 (10YR8/10); PDA上のコロニー発育はMEA上と同様.裏面の色調は,やや薄く鈍黄色 (brownish yellow,10YR7/10) から橙色 (cadmium orange,10YR7/14),菌糸上に明黄色 (5Y9/6) の油滴を生じる; OA上のコロニーは,菌糸層がやや密生,厚壁胞子を多数形成する.顕微鏡下で菌糸は無色または薄黄色 (5Y9/2),幅 (2-)4-5(-7.5) μm,有隔壁,厚壁.栄養菌糸との区別が不明瞭な,分生子柄が気菌糸上に形成され,有隔壁,やや厚壁,不規則に2-3回分岐し,幅3.5-5 μm,先端に分生子形成細胞を生じる.分生子形成細胞は分生子柄側面または先端から分岐し,単生または不規則に3-4個輪生し,無色,(17.5-)35-80(-163)×1.5-3 μm,先端は多少錐形 (幅0.5-1 μm)で次第に細くなり,分生子を集塊する.分生子は無色,無隔壁,楕円から広楕円,円筒形,薄壁で平滑,(3-)5-10(-22.5)×(1-)1.5-4(-7.5) μm.厚壁胞子は菌糸に側生,または分枝の先端に形成され,淡黄色 (pastel yellow, 5Y9/4) から明黄色 (5Y9/6),黄色 (5Y8/10),楕円から長楕円形,直径(25-)30-37.5(-52.5)×(12.5-)15-17.5(-22.5) μm,先端は多少錐形で基部は平坦 (幅5-7.5 μm),数本の溝状構造を生じる.

供試材料:イグチ科子実体上

引用文献

常盤俊之・奥田徹 (2009) 日本産Hypomyces およびそのアナモルフ IV. 日菌報 50: 94?103.

インデックス

KS 03094 (分離源:テレオモルフ)